不動産投資とは
まず最初に申し上げますが、不動産投資は非常に奥が深い話なので、何回かに分けてお話をいたします。今回はまずマンションについてフォーカスしていきます。
資産形成の話題になると必ずといっていいほど、不動産投資の話がでてきます。このブログを読まれている方も勧誘を受けたことがある方も少なく無いのではないでしょうか。
勧誘においては節税がどうのとの謳い文句がありますが、不動産で設ける方法は大きく2種類です。
・賃料をもらって定期的な収入を得る
・不動産の売却益(買ったときと売ったときの差額)で収入を得る
それぞれ順番に見ていきましょう。
賃料収入で利益を得る
最も一般的な方法として、賃貸用として不動産を買い、そこに入居者を住まわせ賃料を得るというものです。簡単にいうと「大家さんになる」ということです。不動産の立地や広さ、間取りにより周辺の物件と賃料を合わせて賃貸に出します。よほど賃料未払いをするような問題のある人が入居しない限りは、これで毎月、安定した収入が入ってきます。他に何年かに1回、発生する更新料なんかも受け取ることができますね。
普通の住居か、それとも店舗や事務所かというところで収入に若干の違いはありますが、それはまた別の機会にお話しいたします。いずれにせよ誰かが入居している限り安定した収入が毎月入ってくるようになります。
賃貸収入は比較的、安全な収入
入居者が引っ越したりして一時的に収入が無くなるリスクもありますが、それでも不動産賃貸収入というのは「一度入ってしまえば後は継続的な収入が見込める」というものなので、いわゆる「一発当てた人」にとても人気があります。
例えば売れた芸能人、株や暗号資産で大儲けした投資家、自分の事業が成功して早いうちに事業を売却した企業家などです。彼らは一時的とは言え、潤沢なお金が手元にありますので、それを元手に不動産を購入し、安定した収入を早い段階で確保したがるのです。
実際に不動産賃貸収入は、金融機関の評価も高く、飲食店経営などと比べると「カタい収入」と見做されます。
デメリットも多数
安定した収入が毎月入ってくるというのは非常に大きなメリットです。しかし反面、デメリットもあります。
・入居者が退去すると空室の期間は収入が入らない
・入居者がいなくても維持管理のメンテナンスコストは継続的に発生する
・入居者が出て行った後の部屋の修繕は、基本的に大家さん側の負担となる(入居者も原状回復義務はある)
・建物が古くなったら修繕もしなければならない
・物件が古くなると入居者がなかなか決まらない
他にも挙げていけばキリがありませんが、不動産という現物資産を持つということは、それ相応に発生する費用も数多くあります。
「利回り」が不動産を測る物差し
価格に対する収益率を「利回り」と言いますが、これが収益を上げる不動産を選定する際の一番の物差しになります。例えば5,000万円の不動産の家賃が月に10万円だとします。この場合、利回りは、10万円✖️12ヶ月(1年間)=120万円(年間収入)➗5,000万円(価格)=2.4%、この物件の利回りは2.4%となり、これが利回りとなります。
計算式は「年間収入➗価格」ですね。
利回りの相場
これは不動産の立地により変わりますが、都市部ですと4%以上、地方ですと6%以上ですといわゆる収益率の高い不動産と言えます。
しかし昨今、東京都内では不動産価格が急騰していますので、利回りが3%台でも売れることがよくあります。
これだけ見ると、この収入が丸々ポケットに入るかのように見えますが実質は違います。
「表面利回り」と「実質利回り」
先ほど申し上げたのは「表面利回り」といい、一般的な計算式で表される目安となるものです。しかし実際にポケットに入る収入は家賃から色々な経費が引かれたあとのものになります。
先ほどの月10万円の家賃の例で申し上げますと、
・固定資産税などの税金が2万円
・管理会社に払う管理料が1万円
・廊下やエントランスなどのちょっとした修理代金が1万円
合計4万円を支払うと、手残りは6万円ですね。これをさっきの計算式にあてはめてみましょう。
月収入6万円✖️12ヶ月=72万円➗5,000万円=1.44%となります。これが実質利回りです。
これを考えると想像以上に儲けが少ないことがわかります。もし銀行借入をしていたら、6万円以上の返済をすると赤字ですね。
賃貸不動産購入は収入は安定するけど儲けは少ない
昨今の相場では、不動産を購入して賃貸に出すというやり方は非常に追い風が吹いている状況です。
収入よりもリスクが増加するのが現状です。
ただ、これはあくまで賃貸収入目当てで不動産を購入する場合であり、値上がり益を期待した転売ではメリットが見込めます。
値上がりのタイミングで転売する
株式などと同じで「安く買って高く売る」というやり方です。そのため非常に投機的要素が高くなります。
しかし現在のマンション相場を見ていただくとわかるように、昨今の不動産価格の上昇がめざましいため、上手くいけば売却益により利益を生み出すことができます。
所有期間や所有形態によってかかる税金も異なりますが、今後も不動産価格が上昇すると期待できる場合は、こちらの方がメリットは大きいと言えます。
都心のマンションでこの様な買い方をしている例は数多く、金利が安い住宅ローンでマンションを買って、数年所有して値段が上がったタイミングで転売する手法です。中には完全に転売用で購入するため、空室のままという物件もあります。
しかしこれらはお勧めしません。
まず販売目的なのに住宅ローンを組んで購入するという方法は、住宅ローンの本来の目的にそぐわず、不正に銀行融資を受けているということになり、罰せられます。
次に不動産価格の上昇がいつまで続くかは不明です。
住宅ローンなどの金利上昇リスク、地震などによる災害リスクを勘案すると、今後も値上がりが続くという考えは非常に危険です。
特に最近のマンション価格相場の上昇率はやはり異常ですので、ここから先の不動産購入は、誰が最高値で購入することになるのか、ババ抜きの様相を呈しています。
現時点での新規不動産購入はリスクが高い
以上より現時点ではインカムゲイン(利回り収入)、キャピタルゲイン(売却益収入)共にかなり狙いづらい状況であり、投資という観点では非常に難しいというのが筆者の意見になります。
一方で節税効果等は依然として期待ができますので、次回は上手な不動産の所有方法についてお話しをしていきたいと思います。
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